第9章 帰還
「っ!!」
思わず後ろに大きく仰け反った
荒い呼吸はそのままに もう一度その場所を確認する
……そこには なにもない
異常な場でも動じるはずはない
ここに来るまえから『死』は身近だった
特別な事じゃない
でも それでもあいつ等だけは……
「誰?」
その声は唐突に、背後から掛けられた。リヴァイに再び緊張が走る。
警戒心を剥き出しにし振り返ると、暗闇に浮かぶ影はビクッと身をすくめ後ろに下がった。
「……リヴァイ?」
「お前か……」
暗がりで良くは見えないが、その影はエマで間違いない。リヴァイは舌を鳴らすと、反射的に構えていた拳を降ろした。