第9章 帰還
はぁ……
はぁ……
はぁ……
逃げついた先で肩を揺らす
他人が情事に耽ったところで
一体何だというのだ
自分に関係などない ただただ
こんな時に……
おかしい
狂ってる
それだけだ
「クソッ!」
リヴァイは邪念を払うように、目をつぶると右手で髪をかき乱した
『アニキ、大丈夫か?』
ふと、耳の奥で声が聞こえた
聞こえる筈などないのに
うつむいたまま、そっと目を開けると……
足元にイザベルの顔が転がっていた
体は無い
千切れた首は赤黒く
大きく見開かれた瞳は
真っ直ぐにこちらを見つめていた
その口元が ゆっくりと動く
『ダ イ ジョ ウ ブ?』