第8章 現実
「エマさん!分隊長が!!」
「落ち着いて、貴方達は周囲の警戒。もし生存者と馬がいれば報告を。あそこには……私が行きます」
それならば……と周囲を囲うように散る班員を見届けると、エマは2人の元へ1歩1歩足を進める。
彼らまであと5メートル、という所でトリガーに刃をセットし引き抜いた。
「……れを知っていて、なぜ…達を調……団へ入れ……」
雨音に紛れて、会話が聞こえる。
「……は……にお前達を戦力として欲し…………してもう一つは、……と取引したお前……利用して、もう一度ロ……を揺さぶる事が出来ると考えたからだ」
「そこまで……だが、こうして俺に襲われるとは考えなかったのか?」
「壁外調査を存続させる為には、些細なリスクだ。それに……」
一瞬、エルヴィンと視線が交差した後。エマはリヴァイの首筋に刃を突き付けた。
ゆっくりと、リヴァイが振り返る。
「貴様、いつの間に……」
その苦しそうな表情に、心が痛まない訳ではない。しかし、エルヴィンの首を刎ねる。というのなら、それより先にこのブレードを振り抜くまでだ。
迷いはない
それを伝える為、手に力を入れ刃先をほんの少し動かした。リヴァイが僅かに顔をしかめると同時に、彼の首筋から赤い物が滲みだす。