第8章 現実
空が赤く染まり、星が僅かにその姿を見せる頃。
部隊は補給基地へと到着した。
それは古城。と呼ぶにはいささか古すぎるが、この大人数が一晩過ごすにはうってつけの建造物。
初めてここを訪れた時は、壁外にこんな物が!と感動したものだ。ちなみに外観はアレだが、中はそれ程悪くない。
部隊の最後尾近くについていたエマが城内へ入ると、先に到着していた兵士達は隊や班ごとに固まり、それぞれ寝床の確保に忙しくしていた。
ザッと辺りを見渡すと、広いホールの片隅に班員と共に腰を下ろす。丁度、リヴァイ達の様子が分かる位置に。
彼らが入団してからというもの、エマはミケと共にリヴァイの監視、及びエルヴィンの護衛を担ってきた。それは壁外でも変わる所はない。
「ねぇねぇ!!リヴァイの所一緒に行かない!?」
「ハンジ……」
ようやく一息つける。と思った時、ハンジが目を輝かせて声を掛けてきた。普段であれば付き合う所だが、あまりにも座ったばかりで立つのが少々億劫だ。
「全然良いけど、夕食済ませてからにしない?」
「いやいや、今でしょ!暇そうにしてるじゃん」
「うーー。そうだね、じゃあ行こうか…」
「エマさん!明日の陣形の事で質問があるんですが、お時間頂けませんか?」
ハンジとの会話に割って入って来たのは、可愛い班員の一人。彼はとっても気が利く子で、班が円滑に機能しているのは彼のおかげだったりもする。