第7章 変化
「ごめんね!私、嘘を言った」
少し遠くにいるリヴァイに、聞こえるよう声を張る。
「本当は、団長とエルヴィンを送り出してたら時間が掛かっちゃって……晩御飯は食べ損ねただけなの!」
先程のハンジ程ではないが、そこそこ響いた自分の声。口を閉ざした途端に辺りは静寂を取り戻した。
こちらに視線だけを向けていたリヴァイが、ゆっくりと身体ごとこちらを向く。
呆れた様に腰に手を当てて。
「お前……なんって台詞を叫んでんだ。情けねぇ」
そんな事は分かっている。
『食べ損ねた』は大声で言う事じゃない。
よく見れば、リヴァイの横でミケがほくそ笑んでいる。
あの男……笑いを隠そうだとか、そういう意識は皆無だ。
「リヴァイに気を遣わなくても良いかな。って思って」
それと……逆に気を使わせた、とも感じたから。これは言わないけれど。
彼は少しの間を置いて、腰に当てていた手を下ろし一呼吸つく。
「その、なんだ……」
微かに聞こえたリヴァイの声に、耳を凝らす。
彼は伏し目がちに言葉を続けた。
「今日は悪かったな。感謝している」