第7章 変化
きっと、今の言葉は彼の本心。
距離が詰まった気がして、なんだか嬉しい。だが、少し違和感も感じる。
悪かったとか、感謝とか。まどろっこしい気がする。まぁ、元々恩を売るつもりはないのだけれど。
「そこは『悪かった』じゃなくて、同じ兵団の仲間なんだから『ありがとう』で良いんじゃない?」
外されていた視線が交差する。じっと彼を見返せば、その瞳の奥で何かが揺れた気がした。
「あぁ……覚えておく」
「えぇ、覚えておいてちょうだい」
「お前達の会話はなぜか締まらんな」
そんな事はない。今ミケが締めてくれたのだから、それで良い。
「じゃあ本当に戻るね。2人共おやすみなさい!」
エマは大げさに手を振った。
些細な事だが、上辺だけでなく普通の会話ができた喜び。そして、少しだけリヴァイに近づけた手ごたえが、兵舎へ向かう足取りを軽くさせた。
しかし、
この日を最後に、壁外調査当日までエマとリヴァイが接する事は、1度も無かった。
7章 END