第7章 変化
「俺だ」
声と共に、暗がりからその姿を現したのはミケ。
「ちょっと。びっくりさせないでよ!」
「お前がまだ帰っていない、とハンジが騒いでいたからな。様子を見に来た。」
「なるほど……来てくれてありがとう。遅くなったけど無事に終わったよ。ねぇリヴァイ?」
隣へ話を振るが、返答する様子は無い。
その代わり。と言っては何だが、鋭い眼光をミケへと飛ばしている。
「こうして話すのは初めてだな。エルヴィンの副官を勤めているミケ・ザカリアスだ」
察したミケが先に口を開いた。
しかし、リヴァイの纏う空気は重いまま……
「喋るのに1ヶ月かかっちゃったか。所属分隊が違うとあまり会わないもんね」
彼を捉えた日、ミケが何をしたのかはエマも把握している。
『汚水に顔を沈めた』と聞いた時は『私の恩人に何してんだ!』と散々捲し立てたものだ。
当然ミケが知る由も無かった事は、百も承知なのだが……どうしても気持ちが収まらなかった。というのが本音。
「とりあえず、歩こう!」
今更その事を謝罪した所で、何にもならない。
ミケにはその内借りを返すとして、今は早く兵舎へ戻らなくては。