第7章 変化
「リヴァイ。ありがとう」
エマは、おずおずと感謝の言葉を述べた。すると淡いランプに照らされた彼の表情が、どことなく柔らいだ。
恐らく『長引いた責任はお前には無い』とでも言いたかったのだろう。ちょっと遠回しで、分かりにくい。しかしそうだとしたらなんだか可愛い。だってまるで……
「ネコみたい」
「あ?」
ボソッと口から出てしまった言葉に、すかさず反応するリヴァイ。
まずい、これは失言だ。
「いや、何でもないです」
ろくな言い訳も思いつかず、取りあえず話を切った。
目の前の人物は眉間に皺が寄っているものの、怒ってはいないだろう……多分。
「……おい、誰か来る」
「え?」
リヴァイの言葉に正面を改めて伺った。
目を凝らせば、暗がりに浮かぶ1つの人影。その影はこちらへ向かって来ており、その姿は次第に大きくなってゆく。
「誰?」
この時間に出歩く人はいない筈だ。
エマが問いかけるのと同時に、リヴァイは手にしていたランプを高く掲げた。
主に足元を照らしていた灯りが、その姿を照らしてゆく。