第7章 変化
2人それぞれ、淡々と手元を動かしてゆく。
「兵団には馴れた?あっという間に1ヶ月経つね」
静かな空間を終わらせたのはエマだった。視線を問いかけた相手へ向けるが、彼は手元を向いたままそれに答えた。
「ああ、毎日コキ使われてる」
「だよね。特に新兵はやる事多くて大変だ」
心底同調するような声色で答えると、リヴァイは少々呆れたように声を上げる。
「てめぇら先輩方は一体何してやがる」
エマはその言葉に目を見開くと、次の瞬間ケラケラと笑いだした。
「何が可笑しい」
「いや、リヴァイでもそう思うんだなって」
先程の言葉は恐らく、うっかり出てしまった本音の1つだろう。隣にから注がれる冷たい視線に、エマは少し困ったように口を開く。
「以外と先輩も忙しいんだよ」
エマは止まっていた手元を、再び動かしはじめた。
「例えば……私はね。訓練の後はエルヴィンのサポートをしてる。最近は明日の会議に向けて、資料作りばかりだったけど」
「会議?」
リヴァイは眉を寄せ、伺うように隣へ視線を向けた。
「そうそう。シーナで行われるから、さっき団長と出発して行ったよ」
そう話す彼女の表情は、一仕事終えた。という安堵感に満ちている。
「夜通し移動なんて大変だよね」と呟くエマの言葉はどこか気怠そうで、「やっと出ていった」とも聞こえる。
移動中の上官を気遣っているのか皮肉っているのか微妙な所だ。