第7章 変化
「ああ、自己流だがな」
端的に返事に、エマは「ふーん」と気の入らない声を返した。なおも興味深げに彼の手元を覗き込めば、怪訝な顔つきのリヴァイと至近距離で視線が交わる。
彼の顔を見て思った。
物凄くうっとおしそうだ……と。
「事故が起こらなくて何より」
なるべく穏やかに、そう告げるとエマは身を引き自身の装置に手をかけた。
立体起動が一般人に許可されていない理由の一つは、その行為が『極めて危険』だからだ。
扱いを間違えれば、壁や地面に衝突してしまうし、その際に他者を巻き込んでしまう可能性もある。
相当なスピードが出るだけに、大怪我する確率は高い。場合によっては怪我では済まない事もあるのだ。
リヴァイもその事は重々承知の上、扱っているのだろうが……
「部品は上に付いている物から順番に外して、これで拭いていくよ。摩耗した部品があれば、交換するから教えてね」
野外で使用する装置の中は、それなりに汚れも溜まる。
エマはウエスを差し出した。
「ああ」
リヴァイはその骨ばった手を伸ばし、折り畳まれたそれを受け取った。