第6章 接触
3人で少し話した後、『温厚そう』な男は半ば強引に『声のデカイ』兵士を後ろから押し、その場から強制的に連れて行こうとしている。
エマはその様子を呆れたように見守ると、2人の後を追うように歩き出した。
「チッ」
リヴァイは少し慌てたように、エマの後を追う。
「おい」
距離を詰めながらエマへ声をかけるが、気づく様子はない。
「おい!」
更に距離を縮め、先程より声を張る。しかしこちらを向いてはくれない。
「……っ待て!」
絞り出した声と共に、すがるように彼女の手首を掴んだ。柄でもない行動に、自分で驚く。
「リヴァイ?」
エマはこちらを向くと、目を丸くした。
「あれ?ファーランとイザベルは?」
いつも3人でいるからだろう、不思議そうに辺りを見回している。
「……あいつらはフラゴンが指導している」
リヴァイは視線を森へ向けた。今日の訓練中ミスがあり、フラゴン直々に追加で指導を受けている最中だ。
「分隊長が……それで、どうしたの?何かあった?」
そう聞きながら、エマの視線が森から手元へ移る。それに気付き、リヴァイはそっと彼女の手首を手放した。
「………」
なかなか口を開けないでいると、エマは不思議そうな表情でこちらを覗き込んだ。