第6章 接触
4人で食卓を囲んだ夕食の時、あの様な笑顔を見せていた。
出会ったばかりだというのに、ファーランと冗談を交わし。イザベルには話に同調しつつも、諭すような場面があった。
その様子を見て
『こいつはコミュニケーション力が高い』
そう感じた。
こういった人物は日常的に様々な人と関わり、自身の引き出しを増やしているものだ。だからこそ、初対面の人を前にしても『このタイプの人にはこう』と、すぐに対応出来る。
地上では接客業にでも就いているのだろうか。
とも考えたが……
男達から逃げた事。両手に出来たマメ。そして何より、路地で見せた意思の強いの瞳。
もしかして、という予感はあった。
それらが示していた物が何だったのか、今ならよく分かる。しかし、人当たりの良い普通の女に見えたのも事実だ。
そんな事を考えていると、視線の先に変化があった。
エマと兵士の元へ、もう一人。少し明るめの茶髪の男性兵士が会話に加わったのだ。
その立ち姿から受ける印象は『穏やかで温厚そう』だという事。