第5章 想い
「じゃあ、もう見れないのか?」
「そんなことないよ。また来年の春咲くから、その時だね」
両手のマッサージを終えると、
次は彼女の腕を簡単に指圧してゆく。
「これからも困った事や、分からない事があれば何でも言ってね。ここの生活は厳しいし窮屈だけど…それは全て、貴方を守る力になるから。だから一緒に頑張ろう」
エマはイザベル達の『真の目的』を知っている。でも、それでもどうか……
「そして来年、あの木に咲く花を見てほしいな」
そう言い終わると同時に、彼女の肩をポンポンっと叩いた。マッサージ終了の合図だ。
「ありがとうエマ」
その言葉に笑顔で返事をした。
「……おい。そこで何をしてる」
「イザベル、エマおはよう!」
話に夢中で全く気付かなかった。
いつの間にか、女子棟の階段下にリヴァイとファーランが立っていた。