第5章 想い
エマは窓から淡い光を感じ目を覚ました。
女子棟の3階。窓から一番近い2段ベッドがエマの寝床だ。ちなみにエマは下段。上段にはハンジが寝ている。
気が付けば王都から帰還して、早くも3週間が経とうとしていた。
1日1日があっという間に過ぎてゆく。
通常の訓練に加え、新陣形の割り振り、及び問題点の改良。そして何より……
「エマ……おはよう。今、何時?」
立ち上がり外を眺めていると、ベッドの上からハンジの声が降ってきた。
そちらを振り返れば、寝癖のついた頭にまだ半開きの目。眼鏡を探して手をパタパタと動かしている彼女が目に入った。
「おはよう。まだ5時過ぎ、起こしちゃってごめんね。ってか寝癖凄いよ」
指先に眼鏡を捕らえたハンジはそれを装着すると、エマへと視線を向けた。
その表情からは、まだ頭が完全に起きていない事が伺える。
「エマの頭も凄い事になってるよ」
その言葉に自分の頭に手を伸ばせば、鏡を見なくてもかなり癖が付いていることが分かった。
苦笑いで返事を返せば、ハンジはモゾモゾと布団の中に潜り込んでいった。
どうやら2度寝するつもりらしい。