第4章 再会
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エマは宿舎の前で1人、キョロキョロと周囲を見回していた。
地下であの光景を見てしまってから、ずっと落ち着かない。
こんなことならナイルに最後まで付いて行くべきだったかと、今更ながらに思い悩む。
「あ……」
まだ距離はあるが、エルヴィンを先頭にこちらへ向かって来る集団が見えた。その後ろにはリヴァイ達3人。
地下での作戦は成功した様だ。着実に縮まってゆく距離に、緊張が高まる。
「エマ、ご苦労だった。地上に出た所でナイルと会ってね。お世話になったのは彼らで間違いないのか?」
「お疲れ様です。はい…間違いありません」
エマは帰還したエルヴィンに敬礼を向けた。
彼の後ろに立つリヴァイ達は、まだエマに気づいていないようだ。
「そうか」と言葉を濁し、リヴァイへ目を向けるエルヴィン。
何を考えているのだろうか?と不思議に思った瞬間。グイッと手首を掴まれ、リヴァイの目の前へ引きずり出された。
「リヴァイ。彼女を知っているかい?」
リヴァイに限らず3人に会ったら何から話そうか、と散々思考を巡らせていたエマ。
しかしその甲斐なく、突如リヴァイの前に放り出され一瞬で頭は真っ白だ。一体何から話せば良いのか。
「エマ!?」
「エマじゃねぇか!」
イザベルとファーランが声を上げた。
リヴァイは相変わらず表情を崩さないが、微妙に眉が上がっている様にも見える。
3人の反応を確認したエルヴィンは、エマの肩をグッと自身へ抱き寄せた。
普段そんな事はされないエマの口から「ふぇ!?」と間抜けな声が漏れる。
「彼女は私の大切な側近だ。昨晩世話になったそうだな、礼を言おう」
リヴァイは眉間にしわを寄せ、エルヴィンを睨みつけている。固く閉ざされた口は開く気配をみせない。