第4章 再会
憲兵の仕事ぶりは見事なもので、エマは事態の終息を少し離れた所から見守っていた。
ふと、地上へ続く階段を見上げれば、昨日の自分を思い出す。とにかく必死だった。正直言えば少し、怖かったのだと思う。
『今』の自分で確かめるように辺りを見渡せば、地下街の景色がより鮮明に見えた。
無造作に破棄されたゴミの山。
道端にうずくまる人々。
建物から流れ出る汚水。
僅かに差し込む光はとても美しく、
埃っぽい風が妙に冷たい。
なんて寂しい街並みなのだろう。
それでも、ここは暖かいと感じた。
それは全て彼のお陰なのだろう。
「また会えるかな」
誰にも聞かれる事のない小さな声で、エマはポツリと呟いた。兵団服を身に纏った姿で会えば、どんな顔をされるだろうか。
「おいエマ!そろそろ引き上げるぞ」
ナイルの声にそちらへ視線を移せば、拘束された男達を階段へ誘導している最中だった。
エマは最後尾に合流すると、階段へ足を掛けた。
ドンッ!
「!?」
遠くから何か崩れ落ちる音と、叫び声が聞こえる。
そちらを伺えば上空を舞う人の姿。エマはその光景に目を見張った、間違える筈はない。彼等は……