第4章 再会
エマの目前には、手錠で拘束された卑しい男達。憲兵団の突入によって、あっという間に建物から引きずり出され、路地に並べられていく。
「おい、俺は骨折してんだ!痛いだろうが!」
足を引きずりながら歩く、長身髭ずらの男。
彼が何故怪我をしているのか、エマにはすぐに分かった。口煩く喚く男に近づくと、視線を合わせ声をかけた。
「こんにちは。昨日はごめんなさい、階段から落ちて痛かったでしょう?」
男は目を見開き、エマを凝視している。
「お前…昨日の女だな。憲兵だったのか。」
「残念、私は調査兵よ。貴方が昨日『競りは3日後』だって教えてくれたから。その前に、捕らえられている人を返して貰いに来たの」
潜伏先の建物から、女性が数人救出されていく。彼女達の着衣は乱れ、憔悴しきっていた。
それを目にしたエマの頭に、「競りまで楽しむ」という男の言葉が蘇る。
「っいでぇ‼」
エマは男の急所を、思いっきり蹴り上げた。冷たい視線で睨み付けると、男の叫びを無視してナイルの元へと向かう。
「エマ。リーダーが誰だか分かるか?」
「あぁ、確かあそこのハゲ頭だったはず。喉を痛めてるから、声ガラガラかも。喋れると良いんだけど」
エマの言葉にナイルは顔をしかめた。階段での出来事は全て報告してある。痛かっただろうな、なんて思っているはずだ。
「それよりあの男の子だけど。私もまた連絡するから、その時はよろしくね」
「あぁ、勿論こちらで話を聞いてからだがな。どの道悪い様にはしない、安心しろ」
エマの視線の先には、昨日ぶつかった男の子。
彼について、ナイルにお願いしている事があった。「安心しろ」という言葉が心強かった。