• テキストサイズ

toi toi toi【進撃の巨人】

第3章 報告


ナイルは「そりゃ、お前ー」と何か言いかけ、言葉を詰まらせた。しばし沈黙が続く。


「お前だからだ」


ナイルの言葉に「は?」と聞き返す。意味が分からない。

「お前が可愛いからだ!だから俺は嬉しい!!」

ナイルは勢いよく言い切ると、エマの頭をぐしゃぐしゃと撫でた。

「ちょと!なんでか知らないけど、今逃げたでしょ。私には分かるんだから!」

何故話を逸らしたのか分からないが、そうされると余計に知りたくなるものだ。

エマはナイルへと詰め寄る。怪訝な顔付きで彼を見上げれば、ナイルは両手を大きく広げ、ニヤリと笑った。

「俺は逃げてねぇ。俺の真意は撫でただけじゃ伝わらないか?なんなら抱きしめてやってもいいぞ」

ナイルの言葉にエマは動きを止めた。
悔しそうに顔を歪ませ、目の前の人物を睨みつける。


「もういい!準備してくる」


エマは出口へ向かい、のしのしと足を進めた。しかしドアの前で立ち止まると、身を返し再びナイルとヴァルツへ視線を向ける。


「…また後でね」


顔を赤らめ、恥ずかしそうに言い捨てると、エマは少し乱暴に扉を閉めた。
静かな会議室で、ナイルがワナワナと震えだす。

「ヴァルツ見たか?エマよ、もしやこれが噂のツンデレってやつなのか。初めて会った時はこんな日が来るなんて、想像もしなかった……」

「お気持ちは分かりますが、我々も準備に取り掛からないと遅れてしまいます。行きますよ!」


集合時間までにやっておくべき事は沢山ある。ヴァルツは自身の上官をズルズルと引きずり、部屋を後にした。


3章 END
/ 128ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp