第2章 出会い
路地を抜けると、比較的大きな通りに着いた。辺りには開店前の露店や屋台が並んでいる。店主達が各々に商品を並べている最中だ。
「ここは、繁華街?」
「あぁ、そんなもんだな」
独特な街並みに目を奪われる。物珍しそうに眺めていると、リヴァイに小突かれた。
「おい、あそこだ」
彼の視線を辿ると、通りの2ブロック先に2人組の憲兵が見える。
「俺は憲兵に会うわけにいかねぇからな。ここまでだ」
リヴァイの言葉に、エマは名残惜しそうに外套を脱いだ。そっと手渡せば僅かに互いの手が触れる。
「また会えるかな」
エマはリヴァイに問いかける。互いにプライベートな部分は話していない。
もう会えない可能性の方が高いのは重々承知だ。
「俺たちは犯罪者だ、深入りするな」
リヴァイの考えは分かっている。でも
「私が一晩過ごした家は暖かかった。それだけで再会を望む理由は十分でしょ」
リヴァイは眉を顰め黙ったままだ。少し困らせてしまっただろうか、エマは目を閉じフッと笑った。
「もう行くね。本当にありがとう!」
エマは握っていた外套から手を引いた。微かに触れていたリヴァイの手が指を掠める。
憲兵の元へ駆け寄り身分と事情を話せば、すぐに承諾してくれた。後ろを振り返ると、未だリヴァイがこちらの様子を伺っている。上手く話が通ったと右手でサインを送ると、彼は踵を返しその場を去っていく。
「リヴァイ、またね」
交わせなかった再会を約束する言葉。
エマはリヴァイの背中に向け、そっと呟いた。
彼との別れが、堪らなく苦しかった。
2章 END