第2章 出会い
外に出て天井を見上げれば、採光口から僅かに白っぽい朝の日差しが差し込んでいる。
昨日と同じだ。
薄暗く汚い街並みにエマを包むリヴァイの外套。しかし決定的に違うのは、2人が肩を並べて歩いている。ということ。そして何より、辺りを包む静寂が心地良かった。
「ねぇリヴァイ。私、地下に来て良かった」
「なんだそりゃ、来ない方が良いに決まってるだろうが」
リヴァイの怪訝な顔を見て、エマは困った様に笑った。
3人は昨晩、エマに色々な話をしてくれた。中でも興味深かったのは、私が出会った子供についてだ。
『お前を捕まえた奴等だが、一点だけまともな所がある。子供に生き方を教えてやっている所だ』
『地下の人間は2種類。搾取する奴と搾取される奴。前者に入らんと生きていけねぇ。ガキが何故そいつらと一緒にいるか知らんが、お前を捕まえて青ざめている内はまだダメだ』
勿論、犯罪を起こしてはいけない。それは大前提だが、今回の一件を振り返るに辺りエマにその見方は無かった。子供を使って人を落とし入れるなんて最低だ。そうとしか思えなかった。
「そうだね。地下に来て良かったんじゃなくて、リヴァイ達に出会えた事が良かったんだ」
エマは自分の考えをまとめるように、言葉を続ける。
「私が知らない世界、考え方を教えてくれてありがとう」
リヴァイを横目で覗くと、視線が重なった。しかしフイッとすぐに逸らされてしまう。
「それはお互い様だ」
ボソッとつぶやくような声だったが、エマの耳にはしっかりと届いた。彼にとって、自分の存在が多少なりとも刺激になったのだとしたら…とても嬉しい。素直にそう思った。