第2章 出会い
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翌朝早朝、エマはまだ半乾きの下着とスカートを手に身支度を整えていた。
結局昨夜は好意に甘え、一晩イザベルの部屋に泊めてもらった。朝気づいたことだが、汚れたスカートはリヴァイが丁寧に洗ってくれていた。
所々破けていた箇所は丁寧に縫い付けられており、ここから帰るまで着る分にはなんの支障もない。
「ねぇイザベル。リヴァイって普段からこうなの?」
スカートを片手に尋ねた。なんだかお母さんみたいだ。夕食の時も、片付けの手際の良さには驚かされた。
「おう、アニキはなんでも出来るぞ。そしてスッゲェ強いんだ」
彼女がリヴァイを慕う気持ちは、半日一緒に過ごしただけでよく分かった。人を寄せ付けないのに、人が寄ってくる。そんな人だ。
支度を整え居間へ向かうと、リヴァイとファーランが待っていた。
「リヴァイ、このシャツ本当に着たままで良いの?」
エマのシャツは右袖がボロボロで、修復は不可能だったらしい。
「やると言っただろ。シャツ1枚で何度もうるせぇ奴だな」
「だって。これだけお世話になって、なんのお礼も出来ないままだし……」
しょんぼりと俯くエマの様子を見かねて、リヴァイは少し乱暴にエマの頭を撫でた。
「礼ならもらった。お前の話はどれも面白かったし、夕食も作ってくれたじゃねぇか」
リヴァイの言葉にエマは俯いていた顔を上げた。目の前にはリヴァイ。そしてその後ろにはファーランとイザベルが笑顔で立っている。
「エマ。いつでも来いよ!って言いたいところだが、ここは地下だ。次は地上で会えるように俺たちも頑張るさ」
「そうだぞエマ!また面白い話いっぱい聞かせてくれよな!」
2人の言葉がとても嬉しかった。
握手を交わし心からお礼を伝える。この後仕事がある、という2人とはここでお別れだ。エマは一応着るように。と手渡されたリヴァイの外套を羽織り、玄関のドアを開けた。
「またね!」
再開の約束であるこの言葉を交わし、リヴァイと共に家を後にした。