第2章 出会い
「じゃあ……」
エマはマグカップを握る手に力を入れた。
「どうして私を助けてくれたの?」
これまでとは趣旨の違う質問を投げかけた。じっとリヴァイの瞳を見据えると、彼は手にしていたカップをゆっくりと机に置いた。
「お前。一度立ち上がった後、足取られて転んだろ」
その言葉に先程の出来事を思い返す。確かに石畳に足を取られて転んだ。
「あの時、近くに居た俺の方に倒れることも出来たはずだ。だがお前はそうせず、地べたに転がる事を選んだ。それが理由だ」
エマはリヴァイの言う意味が良く分からなかった。
「えっと……でも、見知らぬ人に支えてもらおう。なんて思わないんじゃないかな?」
自分の行動はそれ程珍しいものではないはずだ。リヴァイの真意を確かめる。
「ここは騙し合いの世界だ。さっきのお前みたいに弱者のフリをして、手を貸した奴が落とし入れられる。なんてこともザラにある」
「……お前は自分であの状況を打破しようとしていた。それが分かれば十分だ」
リヴァイは再び紅茶の入ったカップを手に取ると、紅茶を一口飲んだ。
彼の言葉の意味を考える……つまり、害はないと判断してもらえたのだろうか。
そんな事を考えていた時、ガチャっと音がして玄関の扉が開いた。