第2章 出会い
「この紅茶、どこで買ってくるの?」
地下にも商店があるのだろうか。純粋な疑問をぶつけてみた。
「あぁ、それは酒場で手に入れた」
「酒場?」
「賭け事の戦利品だな」
「え、賭け事ってどんなことするの?」
酒場で賭け事とは穏やかではない。まさか殴り合いなどではあるまいな、とドキドキしながら返事を待つ。
「……腕相撲だ」
その返答にエマは目が点になる。紅茶を賭けて真剣に腕相撲を取るリヴァイの姿を想像すると、なんだか可笑しかった。
「ふはっ!何それ、面白いね」
クスクスと笑うエマ。
リヴァイという人は、いかにも口下手そうだが……内面は至って普通そうだと、直感で感じた。
「アニキって呼ばれるのは好きじゃないの?」
これは先程感じた疑問。
「ダサい呼び方すんじゃねぇ。それはアイツが勝手に呼んでるだけだ」
リヴァイは眉を寄せ、心底嫌そうな顔をした。
しかし嫌だと言いながら、彼女にはそれを許している。その事実がとても微笑ましかった。