第2章 出会い
「あの、どうかされました?」
動かない事を不思議に思ったのだろう。女はリヴァイを見上げ遠慮がちに声を掛けた。
「……お前、まだ血が止まってねぇじゃねぇか」
リヴァイは見惚れていた事実を隠すように口を開いた。患部を圧迫するため、少しきつめに包帯を巻いていく。
「……ねぇ、ファーランはどこ?」
ふいに、2人の様子を見ていたイザベルが口を開いた。
「あいつは、外の様子を見てくるそうだ」
「ふーん。じゃあ、私も行ってくる!」
その言葉に驚きリヴァイは静止するが、イザベルは家から飛び出して行ってしまった。ムードメーカーを失った部屋は静まり返る。
「あの、えっと……アニキ?」
「あ゛?」
アニキと呼ばれ固まるリヴァイ。
その反応を見て強張る女。
「ごめっ、名前!名前教えて!私はエマ」
「……リヴァイだ」
まだ途中だった包帯を止めながら答えた。
少し威圧的になりすぎただろうか、エマの表情は硬い。
例えばこれがファーランならば、上手く緊張を解してあげれるのだろう。
リヴァイは無言のままエマから離れると、台所へ向かい水を火にかけた。