第11章 実態
前回の壁外調査。
あの雨の中、音響弾を使い集められた兵士は後方を走っていた班に限られた。
はぐれた兵士は自力で目的地へ辿り着いたのが半分。
行方が分からなくなった者が半分。
索敵陣形の利点と難点。
どちらもハッキリと示された。
「中央にはありのままを報告しています。評価はまぁ……褒められはしないよね、つまり普段通りってことかな」
「次回の壁外調査の見通しは経っているのでしょうか?」
「今の段階では立っていません。主な理由はお金の問題と、あなた達の命を守るべきだ。という声が強い事。この2点です」
エマの述べた理由に、先程まで不満そうな顔をしていた班員は押し黙っている。
……彼女の言いたい事が分かるのだろう。
『評価されなかった事実』と共に、彼女がサラリと述べたのは【あなたは大切にされている】という事実だから。
「……それでも俺は、自分の命を自分の意志で使いたい」
先程とは違う兵士が、ポツリと呟いた。
「それは私も同じ。まぁ『調査兵団廃止』なんて事にはしないから!また一緒に頑張ろう」
エマの言葉に頷く班員を、リヴァイはただ眺めていた。