第2章 出会い
「あいつの額と、腕は服を着る前に消毒してやれ。面倒事を頼んで悪いな」
そう伝えると、張り切った様子で風呂場へ向かっていくイザベル。その後ろ姿に若干の不安を覚えつつ、リヴァイも掃除用具を揃え居間へと向かう。
床に目線を落とすと案の定汚れていた。箒を手に掃除へとりかかるのと同時に、ファーランが自室から出てきた。
「手錠は外れたぞ、手首が腫れてたから後で冷やした方が良いかもな」
「助かった。悪かったな、休んでたのに起こしちまって」
例を言うと、ファーランはふっと笑い雑巾を手に取った。どうやら掃除を手伝ってくれるらしい。
「しかし、あの女どうすんだ?俺たちは今、大事な仕事控えてんだぞ。帰る場所が無いとか言い出したら困るだろ」
ファーランの言いたい事は分かる。
例えばあの女に身寄りがなかったとしても、今はイザベルの様にこの家に置いてやることは出来ない。
「話を聞かねぇと分からんが、多分大丈夫だ」
ファーランは訳が分からない。と言った顔をしている。それを察してリヴァイは再び口を開いた。
「服だ。ボロボロだがそれなりの物を着ていた。それに地下の街に不慣れな様子だった」
「つまり地上の人間かもってことか?」
「聞かねぇと分からん、と言っただろう」
結果の出ない話だが、納得はしてくれた様だ。
ファーランはそれ以上何も言わず、手を動かし始めた。