第9章 帰還
ふと、隣からクスクスと笑う声が聞こえた。そちらを見ると、エマが左手を口元に当て笑っている。
「何が可笑しい」
「いや、楽しいなぁって思って」
彼女はその言葉通り、心底楽しそうで。
リヴァイはその表情に、心が落ち着くのを感じた。
「エマは随分とごきげんだな。優しくてかっこいい男が居るからか?」
「ちょっとエルヴィン、一体いつの話してんの!?それは言ったの2ヶ月以上前だよね!」
「2ヶ月前はついこの間だろう」
「あーそう。年取ると時間が早く進むんだってね」
「その通りだ。君にはまだ分からないだろうがね」
睨みをきかせるエマに対し、余裕たっぷりのエルヴィン。ふと、その様子を見てファーランとイザベルを思い出した。
あいつらも、よく言い合いをしていた。会話の内容は下らない事ばかり。やかましい、と何度も思ったが……俺はあの空気が好きだった。
どうでも良い事を話して、笑って
そう、こんな風に