第9章 帰還
「ちょっと……スープ溢れちゃったじゃんか。私これ好きなのに」
エマは椅子を引くと、リヴァイの横にドカッと腰を下ろした。
「お前が雑に置くからだろうが」
「違うね、リヴァイが言い返さないのが悪い」
「てめぇ……」
理不尽な文句を言う彼女は、パンをちぎるとプレートに溢れたスープに、それを浸して口に放り込んだ。
「汚ねぇな」
「机にこぼれた訳じゃないからセーフでしょ」
「あぁ、そうかよ」
「あー居た居た!エマ、リヴァイ!2人共聞いてよぉぉぉ!!」
ろくな挨拶も無しに突然エマの目の前に座ったのは、壁外で声を掛けてきたハンジだ。
彼女は巨人がどうのこうのとペラペラ喋る傍ら、パンをちぎる事もなく噛みちぎっている。
「そういえば、エマは巨人の目玉にブレード突き刺したんだよね?どんな感触なの⁉」
「普通だよ。表面は固くて、中はぐちゃっとした感触がする」
「やめろ、メシが不味くなる」
……ここにマトモな女は居ないのか?
「ハンジさん!いい加減、研究室の片付けを押し付けてどっか行くのやめて下さい!!」
続いて現れたのは、プレート片手に青筋を立てた青年。彼の姿も何度か見かけた事がある。