第9章 帰還
翌朝。
リヴァイは食堂で朝食の乗ったプレートを手に取ると、手近な席に腰を下ろした。
昨夜の静寂は何だったのか。
確かに壁外調査前と比べれば皆大人しいが、普通に食事をとり、普通に会話をしている。
リヴァイはパンを手に取ると、一口分ちぎり口へ入れた。
「あいつ。一人だけ生き残ったらしいぜ」
ふと、そんな声が背後から聞こえた。
嫌でもそれが自分の事だと分かる。
巨人の群れに当たったらしい
分隊長も死んだのに
他のヤツを餌にしたんだ
さすが犯罪者
仲間を仲間と思っちゃいない
だから地下のヤツは……
ガシャンッ
大きな金属音が響き、その話し声は途絶えた。
リヴァイの真横には乱暴に置かれたプレート。
衝撃に耐えきれず、スープが器から半分ほど零れてしまっている。
「おはよう!リヴァイ」
「お前……」
ニコリと笑みを携えているエマだが、まとう雰囲気は穏やかでない。