第9章 帰還
「あいつらは……俺の、大切な友人だった」
2人のおかげで、孤独なんてとっくに忘れていた。
不自由な生活だったけれど、それで……幸せだったんだ。
「大切な物を見失っていた俺を……あいつらはどう思うだろうか。俺は……許されるのだろうか」
そう呟いた時、エマは片手で毛布を剥ぎ取ると、繋がれた手をグッと引き寄せた。
ふわりと、優しい匂いがリヴァイを包む
「大丈夫だよ」
引き寄せられたリヴァイの頭、そして背中に彼女の手が回る
「話してくれてありがとう。大丈夫、リヴァイは間違った事なんて、何もしてない」
彼女と触れ合っている場所が、暖かい
「誰も、あなたの事を責めてなんかいないよ」
「……泣いてるのか?」
彼女の声は、震えている。
「泣いてるのは……リヴァイでしょう?」
その言葉で初めて、自分の頬が濡れている事に気が付いた。
「……情けねぇ」
そう呟いて、エマの肩に顔をうずめた。
戻らない2人を思って泣いている自分も、こうして彼女にすがっている自分も。情けなくて仕方がない。
でも
それでも今だけは
この優しい時間に身を委ねていたい。
リヴァイはその瞳をそっと閉じた。