第2章 出会い
男は入口のドアを開けると、ドアノブに手をかけたままスッと道をあけエマに先に入るよう促した。
それに従いおずおずと室内に入ると、綺麗に整頓された小綺麗な空間が広がっていた。
先程まで見ていた地下街の街並みとは大違いだ。
「アニキ!おかえりー!」
明るい声と共に、可愛らしい女の子が奥の部屋からヒョッコリ顔を出した。
エマを見つけ驚いた表情をしている。
エマもまた、彼女を見て心底驚いていた。部屋の中には野蛮な男達が居るのでは……などと想像していたからだ。
「おいイザベル。ファーランを呼んで来い」
その言葉にバタバタと違う部屋る女の子を確認し、男はエマの外套を脱がした。
そして……その姿に顔を顔を歪める。
エマのシャツは右袖の肩から肘にかけて大きく擦り切れ、肌から血が滲んでいる。
そして胸元には大きなシミ。唾液と額の傷から伝ってきた血が混ざり出来たものだ。
下半身に目をやれば、スカートは所々破け汚水で色が変わってしまっている。とどめに全身砂や塵で真っ黒だ。
エマも自身の姿に言葉を失った。
2人の間になんとも言えない気まずい空気が流れる。
「おいおい、こいつはひでぇな」
沈黙を破ったのは奥の部屋から出てきた男性。眠っていたのだろか、後頭部に少し寝癖がついている。
「ファーランこいつの手錠を外してやれ。イザベルは風呂の用意だ」
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