第56章 作戦会議
PM2:16
「ワシはワリャの車に乗るんは気に食わん。」
まだ、静かな町を一台の車の黒光りするが走っている。
その車内で、後部座席の右側に座る善司がポツリと呟いた。
「そんなこと言われても知らん、親父の命令ですわ。だから、しかたないやろ。」
濃い茶色の髪の短い男が、善司を見ずに言った。
白のスーツを着ていてまるで"ホスト"みたいだと善司は思っていた。
この男の名は畠中 充(はたなか みつる)。
白川組の若頭だ。
「そんなのわかっとるわ。……ホント、ムカつくのォ。」
ギシギシと奥歯を噛み締めている。
「俺だって、こんなレベルの低い奴と組むのは嫌や。」
不満そうに畠中が窓の外を睨んでいる。
「そりゃ、ワシの台詞ジャ!!おどれに言われとうないわ!!」
善司の声が車内に響く。
「あー、うるさい。まるで猿やの。」
畠中が小指で耳を塞いだ。
「誰が猿じゃ!!」
更に響く。
「わかがし、もうすぐ着きますよ。」
「わかった。出来るだけ目立たないところに止めろ。」
「はい。」
運転手は返事をすると、建物の影に隠れるように車を止めた。