第58章 魔王と捕らわれ姫と裏切りとそして守る者
「お…親父ィ!!」
「お父さん!!」
あたしを離した江田とレイカが老人に近寄る。
「……こんなの…たいした事……ない。」
血を吐き出しながら江田の腕の中で老人が笑っている
「始めっから豪龍会と組むつもりなど無い。俺が豪龍会と西條会飲み込んでや――」
バコンッ―――
花村の顔面に拳が入った。
花村がぶっ飛ぶ。
「せっかくの家族の再開を無にしやがって……そういうクズ野郎はぜってぇゆるさねぇッ!!」
拳を握った誠也君が、激しく花村を睨み付けた。
「暴走族……ごときが調子に乗りおって……。」
花村が誠也君に銃を向けた。
――彼が撃たれる。
そう思ったら無意識に身体が動いた。
ドンッ――
パァンッ―――
その瞬間、銃声が響く。
身体を貫くような痛みが身体に走る。
あぁ…彼を守れたんだ。
ゆっくりと身体が地面へと誘われていく。
「桜あぁぁああ!!」
彼の声が聞こえてくる。
身体が浮いた気がした。
霞む目の前の彼の顔。
「だい…じょ…うぶ……ゴホッ……。」
血を吐き出しながらゆっくりと目を閉じた。
VOL2へ続く。