第56章 作戦会議
「ガキ扱いすんなッ!!」
「じゃあ聞くが、お前は身内の死を受け入れられるか?」
「……あぁ。」
小さく頷く。
「たとえ目の前で死んでもか?」
「どういう――」
「大事な奴が目の前で殺されても冷静でいれるか?」
「大事な奴……。」
誠也は俯いた。
キュッと唇を噛む。
彼の脳裏に真っ先に彼女の顔が浮かんだ。
――彼女を喪いたくない。もう大切なモノ無くしたくない。
ジワジワと熱いものが込み上げてくる。
「はっきり言うが、極道の抗争は暴走族のような喧嘩じゃない、"殺し合い"だ。そんな中で冷静になれない奴が生き残れるわけがない。……わかったか。」
白川はそこまで言うと、冷めたコーヒーを口に含んだ。
「……それなら、失わないように大事なもん守ればいいッ!!俺ァもう大事なもんは失いたくねぇ!!」
「そんなことが出来るわけがないだろ。」
喉に流れるコーヒーのように冷めた目で白川が誠也を見ている。
「出来る……男の拳ってのは傷付ける為にあるんじゃねえ。大事なもんを守る為にあんだよ。だから、俺は絶対に死なせねぇようにこの拳で守り抜く。」
力強く、手を握った。