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レッテル 1

第56章 作戦会議




「豪龍会でもなんでも、さっさと来んかいッ!!ワシはいつでも準備出来とるでッ!!」

岩中宅の入り口で加藤が猛った。
肩にギラリと光ドスを持ち、今や今かと敵の来襲を待ち構えている。
上半身裸で。
背中の大きな般若と胸の桜が、傷の入った鍛えられた肉体によく映える。

「兄貴、寒くないんすか?」

見張りが加藤を見ながらブルッと身体を震わせた。

「アホか!!雌雄を決する大事な抗争にヌクヌクと服着てられるかいッ!!」

横目で男を見ると吐き出すように言った。

「さすが兄貴。」

―――この人は少し考え方がちょっとおかしい。

心では真逆の事を考えながら男は加藤をおだてた。

「兄貴、感服しました。」

「ワシ等も兄貴の後ろお守りしますぜッ!!」

ゾロゾロと若衆達が奥から出てきた。

―――コイツらもかッ!?

男は呆れ若衆達を見ている。
なぜなら、皆上半身裸だからだ。
岩中組の屈強なき男達が裸にズボン一丁で加藤の後ろについた。
皆、思い思いを込めた色鮮やかな刺青を背中に背負っている。
それには一つ一つ意味がある。
まあ、それはまた別の話。

「オゥッ、おどれ等ワシについてき!!岩中組の底力、豪龍会のクソ共に見せたるんやッ!!」

そう言って加藤が右足を踏み込んだ。

「ハイッ!!」

若衆も足を踏み込む。

「ところて加藤の兄貴、敵がどこにいるかわかってんスか?」

見張りがまた口を開いた。

「知らん。」

「知らん……て。」

見張りが呆れている。

「しゃあない、待機や!!」

再び、門の前で加藤が肩にドスを置いた。
若衆もジッと加藤の後ろに立っている。

「はぁ……。」

見張りは岩中の行く末が心配になった。




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