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レッテル 1

第56章 作戦会議




先輩達を見ていると、無性に彼に会いたくなった。
毎日一緒にいて、別れたのはたった数時間というほんのわずかな時間なのに。
それだけ、あたしが彼に溺れているのだろうか。

そう思いながら、携帯を取り出した。
待受は、いまだに誠也君の寝顔。
この子どものような寝顔が大好きだから変えれずにいる。
世間から見たら、彼は"不良で駄目な人間"というレッテルを貼られているかも知れない。
だけど、あたしからしたら彼は"優しくて、頼りになって大好きな人"だ。
これからも変わらない
それはずっと……。

指で、画面の中の彼の頭を撫でた。

ブー……ブー……

すると、携帯が突然震え始めた。
彼だ。
噂をしたらなんとやらというやつだ。
嬉しさで胸が跳び跳ねている。

「もしもし。」

あたしは電話に出た。

「桜、今どこにいる!?」

あたしと違って電話の向こうの彼の声色は、なんだか切迫した空気を放っていた。
なんだか違和感を感じる。
何かあるんじゃないかと、心臓がドクドクとサイレンを鳴らしている。

「ゲームセンターの駐車場だけど……どうしたの?」

「拓達と一緒か!?」

彼はあたしの問いに答えずに叫んだ。

「……うん。」

「なら絶対離れるなよ!!」

「…なんで?」

「ぜ…た………ぞ――――」

ジリジリと乱れた機械音がした。
そして、通話が強制的に終了させられている。

一体、彼は何をしているの?
どこにいるの?

胸の奥のサイレンが更に高く鳴り響いている。

駄目だ。
頭が混乱してる。
トイレにでも行って落ち着こう。

「あの、トイレ行ってきます。」

藤崎先輩にそう伝えるとあたしはゲームセンターのトイレに向かった。



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