第6章 思い出
「誠也君。」
病室に入ると誠也君はベットに座っていた。
彼の背中がなんだか寂しそうに感じる。
「無事でよかった。すごくし―――。」
「俺は…。」
彼は小さく呟いた。
「俺は上田さんみたいにはなれねぇ…。守りたい者も守れねぇ。やっぱ…俺は弱い。」
どうやら、あたしに気づいてないらしい。
頭を抱えながら俯いている。
「あんたみたいになりたかった。でも……――。」
彼の肩が震えている。
「なぁ…上田さん、あんたならどうする?なぁ…教えてくれよ、上田さん。」
「………。」
彼に話かける事が出来なかった。
きっと彼は泣いている。
あんなに強い彼が泣くなんてよっぽどのことだ。
「………。」
あたしは、黙って彼を抱き締めた。
「……ごめん…ごめんな。」
大きな彼は小さなあたしの中で小さく泣いた。
「大丈夫だよ…誠也君は頑張ってる。」
彼の背中を優しく撫でる。
「…上田さん…会いてぇよ…。」
なんだか彼が小さく感じた。