• テキストサイズ

レッテル 1

第6章 思い出




「誠也君。」

病室に入ると誠也君はベットに座っていた。
彼の背中がなんだか寂しそうに感じる。

「無事でよかった。すごくし―――。」

「俺は…。」

彼は小さく呟いた。

「俺は上田さんみたいにはなれねぇ…。守りたい者も守れねぇ。やっぱ…俺は弱い。」

どうやら、あたしに気づいてないらしい。
頭を抱えながら俯いている。

「あんたみたいになりたかった。でも……――。」

彼の肩が震えている。

「なぁ…上田さん、あんたならどうする?なぁ…教えてくれよ、上田さん。」

「………。」

彼に話かける事が出来なかった。
きっと彼は泣いている。
あんなに強い彼が泣くなんてよっぽどのことだ。

「………。」

あたしは、黙って彼を抱き締めた。

「……ごめん…ごめんな。」

大きな彼は小さなあたしの中で小さく泣いた。


「大丈夫だよ…誠也君は頑張ってる。」

彼の背中を優しく撫でる。

「…上田さん…会いてぇよ…。」

なんだか彼が小さく感じた。




/ 1026ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp