第6章 思い出
あたしってやっぱり嫌われてるのかなぁ…。
涙が溢れそうになってきた。
好きだって言ってくれた。
愛してるって言ってくれた。
守るって言ってくれた。
全部…嘘なの?
本当はあたしの事嫌いなの?
堪えきれなくて涙が溢れてきた。
ごめん…棗。あたし…笑えない。
「あのさ…誠也はあんなこといってるけど、きっと嬉しいんだよ。」
すると、黒のオールバックの髪をした男の人が言った。
「え…?」
あたしは彼の顔を見た。
「あぁ、俺"藤崎 拓郎(ふじさき たくろう)"って言うんだけど、昔っからの達であいつの考えてることだいたい分かるんだ。」
彼はそう言うと頭を掻いた。
「腐れ縁ってやつかな?」
ハハハと笑った。
「でもね、自分の情けないとこ君に見せたくないんだよ。変にプライド高い奴だから。だから…気にすんな。」
ポンポンと軽く頭を叩かれた。
あ……。
彼と一緒だ。
あたしは涙を拭った。
「はいっ。」
そして、あたしは笑った。
「…なんか、誠也が君に惚れた理由分かった気がする。」
「え?」
「なんでもねぇ…行ってあげて。」
ガシガシと藤崎さんは頭を掻いた。
「はい。」
あたしは病室に向かった。