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レッテル 1

第56章 作戦会議




「俺の車もそうだが、お前のバイクは更に目立つ。俺の車に隠れるように止めろ。」

最上階を見上げると首が痛くなるような大きなビル。
そこの地下の駐車場のもっとも奥にバックで止める宗次郎が、窓を開けて言った。
止めるのに然程(さほど)時間はかかっていない。
素早く迅速に、片手で宗次郎は綺麗に止めた。

「あぁ。」

それに驚きながらも、バイクなら余裕で止められて隠れられる細いスペースに止めた。

「つうか、バイクどころがその格好の方が目立ちすぎジャろ。」

車を降りている善司が誠也を見ながら言った。

「これが俺等の制服なんだよ。つか、オッサンも人のこと言えねーだろ。今時季タンクトップ一枚とかいねーだろ。」

「誰がオッサン――」

「うるさい。」

善司が叫ぼうとすると、鍵を抜いて車を降りている宗次郎が言った。

「………ワシは着込むのが嫌いなんジャ。」

先程とはうってかわって小さい声で善司は言った。

「ただのバカだろ。ま、バカは風邪引かないって言うしな。」

「誰が……て、ワシ置いて行くなや!!」

いつの間にか車から離れていた宗次郎と誠也の後ろを慌てて追いかける。

「おどれらは、もーちょい気遣いとかないんか?」

「生憎(あいにく)、俺は年寄りらしいんでな。耳が遠いくて雑音にしか聞こえん。」

振り向かずに宗次郎が言った。

「ワリャ、あん時の何気に気にしとんか?」

「しらん。」

善司の問に宗次郎は冷たく答えた。
意外と気にしていたようだ。





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