第6章 思い出
「ほら、行ってこい。」
病院の玄関の前でバイクは止まった。
「うん!!」
あたしはバイクを降りると中へ入った。
「だから、たいした事ねぇっていってんだろぉがよ!!」
中へ入ると聞き覚えのある声がしてきた。
「総長、やめてください!!」
「誠也!!その身体じゃ無理だって!!」
続くように男の人たちの声が聞こえてきた。
「誠也…君?」
あたしは声のした方へ走った。
「テメーらいかせろ!!」
「皆、誠也を止めろ!!」
三階の病室の前。
特攻服を着た男の人達に止められる彼がいた。
「誠也…君。」
あたしは何がなんだかわからなかった。
それよりも、彼が目を覚ましていることが嬉しかった。
「誠也君!!」
再び彼の名前を呼んだ。
すると、そこにいた皆が一斉にこちらを見た。
「桜…なんでお前がここに?」
彼が驚いた顔をした。
「電話あって…撃たれたって…。」
「……誰が言った?誰が桜に電話した?」
唸るように彼は呟いた。
「俺です。…俺が電話しました。総長…きっと朝日さんに会いたいだろうとおもって…。
周りの人より少し小さい坊主の人が名乗り出た。
「余計な事すんじゃねぇ!!」
そう言うと、周りの人達を振り払って誠也君は病室に入っていった。