第55章 男達の闘い
「で、いつになったらやんだよ、髭野郎。」
「んなもん雨天中止だ。」
「野球かッ!!喧嘩は野球と違うんだよッ!!」
「そんなのしりましぇーん。」
岩中宅の軒下で雨宿りしている誠也と堀田が言い合っていた。
原因は先程降りだした雨。
組員も皆雨宿りしている。
「やっぱりワシがアイツの首ぶった切るしかない!!貸せ宗次郎ッ!!」
ズズ―――
「落ち着け。」
湯呑みに入ったお茶を啜りながら宗次郎が善司をなだめる。
「なんでや……て、ようおどれは落ち着いて茶飲んでられるのぉ!!」
「あせってもしかたない。お前も飲むか?」
「いらん!!……たく。」
善司はため息を吐いた。
「一回俺帰るわ。」
携帯を見た堀田がガシガシと頭を掻いた。
「どこに?」
「ヒミツぅー。」
堀田は口を尖らせると雨の中フードをかぶり歩いていった。
「むかつく。なんか、全部台無しじゃねーか。調子狂うわ。」
不貞腐れたように、誠也は煙草をくわえ火をつけた。
「クソがきゃあ、神聖な岩中の土地に灰でも溢したらいてコマすゾ!!」
眉の無い坊主の男が彼にガンをたれている。
「ハイハイ分かりましたよ。」
と、煙草から灰を落とす。
「おどれは……。」
組員達が額に青筋を立てている。
「別にかまわん、それぐらい。それに今そいつにいなくなってしまわれては困るからな。」
ズズ―――
また、宗次郎がお茶をすすった。