第55章 男達の闘い
「なにをジャ?」
善司が宗次郎を見た。
「堀田の相手に決まってるだろ。」
「それならワシが――」
「いや、我々は相手にしなければいけない奴等がいる。」
「誰ジャ?」
善司が宗次郎を見た。
「江田派の奴等と、裏切り者だ。それに江田。」
「……勝算はあるんか?」
「わからん。だか、今からあるところへ行く。秋本も連れて。」
「はぁ?雨降っとるのにバイク乗れんジャろ。」
「………もうじき止む。」
「ハァ?どこにそないな根拠が……。」
あきれたような顔をした。
「見てみろ。」
宗次郎はゆっくりと顔を天へと上げた。
「は?」
善司もゆっくりと顔を上げる。
「……んな、アホな……。」
すると善司が目を見開いた。
先程の雨が嘘のように雲の間から太陽が顔を出している。
いつの間にか雨も止んでいた。
「おどれは超能力者か!!」
「いや、長年の"勘"だ。」
「ジジィかッ!!」
「とにかく……秋本、お前もバイクでついてこい。」
ことりと廊下にお茶を置いて、刀を手に取り宗次郎が立ち上がった。
「あ?何でだよ。」
煙草を揉み消した誠也が宗次郎を見た。
「一緒に行動すれば効率が高い。」
「じゃあ、ワシは帰っていいか?」
「盾もついてこい。」
「誰が盾ジャ!!」
眉間にシワを寄せながら善司も立ち上がる。
「とにかく急ごう。」
宗次郎が、車へと歩き出した。