第55章 男達の闘い
「クソがぁッ!!」
白井の血塗れの歯が剥き出しになっている。
大きな拳を先輩に放った。
ガシッ――
先輩は素早くそれを避けると白井の腕を掴む。
「うォォオオオッ!!」
白井の身体が宙に浮いた。
グシャアッ―――
そして、濡れた地面に背中から叩きつけた。
「ぶぁっ―――」
血を吐き出す。
「これで最後だッ―――」
白井の顔の真上で先輩が拳を振り上げた。
「やめ……」
グシャアッ―――
「ぶふッ―――」
一気に降りおろしたの拳が白井の顔面にめり込む。
血を吹き出す鼻が、一瞬無惨な形に変形した。
あまりの衝撃で、彼は白目を向いてしまっている。
口からはツーっと、一筋の赤い線を描いていた。
ピチャッ―――ビチャ―――
握っていた手を広げた彼はゆっくりとあたし達の元へ歩いてくる。あと、数歩。
あと――
ベシャァッ―――
先輩が地面に崩れ落ちた。
「先輩ッ!!」
「藤崎さんッ!!」
あたし達は先輩にかけよった。
――あ………。
先輩の顔を見て思わず笑顔になった。
だって、眠る先輩の顔が穏やかに笑っていたから。