第55章 男達の闘い
「シュッ―――」
そう口で呼吸を整えながら白井が拳を横から降り下ろす。
バシィッ―――
腕で受け止めた。
ビリビリと骨が痛む。
それを耐え、
バコッ―――
「かはッ――」
鳩尾に拳を入れた。
バコッー―
バコッー―
バコッー―
何度も。
水を含んだ服が重くのしかかるが、それも気にせず殴り続けた。
喧嘩は情けをかければ負ける。
死に対しての恐怖を抱けば、もっとだ。
だから、情けなどかけない。
一気に殺る。
先輩の目はもう穏やかさを無くしていた。
例えるなら百獣の王であるライオンのような目だ。