第55章 男達の闘い
「あたしも双子の弟がいるの!!」
カラン―――
手に持っていた鉄パイプを落とし、彼等の手を握る。
同じ双子の兄弟がいると思うと、親近感がわいて思わず興奮してしまった。
「マジッスか!?」
「同じッスね!!」
彼等も興奮気味に握った手を振っている。
なんだか和やかな空気になった。
バコッ―――
ドサァッ―――
その時誰かが倒れる音がした。
あたし達は手を握ったまま、音の方へ目を向ける。
「先輩ッ!!」
あたしは目を見開いた。血だらけの藤崎先輩が地面に倒れている。
「藤崎さんッ!!」
二人があたしの手を放し先輩の元へ駆け寄ろうとした
「来るなッ!!」
先輩が叫んだ。
フラフラの足で立ち上がる。
「……これはタイマンだ。黙って見てろッ!!」
先輩は振り向かずに言った。
"近寄るな"
背中がそう語っている。
ポタ―――
ポタ―――
空から何かが降ってきた。
雨だ。
次々と大量の雨粒が地面を濡らしていく。
「姉御、濡れますからこっちに――。」
「うっうん――。」
キョウさんに引かれるままに屋根のある所まで行った。
ジッとそこから先輩を見つめる。
――大丈夫、大丈夫だ。先輩はきっと…負けない。大好きなあの人が信じているんだからあたしも信じる。
この特攻服を着ている以上仲間―――いや違う。
着ていなくても仲間であることはかわりない。
"
"お前も家族見てぇなもんだから"
前に彼がそう言っていたのを思い出した。
"家族"
そうだ。
仲間以上に、族の皆は家族なんだ。
だから、信じる。
皆を。
それが無力のあたしに唯一出来ること。
雨が降り頻る空を見上げた。