第55章 男達の闘い
「まてよ………誰が"まいった"って言った?……俺はまだ負けてねぇ……。」
フラフラとよろける足で先輩が立ち上がった。
「……面倒くさ。」
振り向いた伏田の眉間にシワがよる。
「……さっさと来いよ。」
腫れ上がった瞼の下からジッと伏田をとらえている。
「……うざ。」
そう呟いた伏田が此方へ向かってくる。
しかし、先輩は構えない。
バコッ―――
ドガッ―――
相手の拳を避けようともしない。
ただ、顔面でそれを受け止めている。
「きもちわる。族ってバカばっ―――」
バコンッ―――
「ぶはぁッ―――」
先輩の拳が伏田の顎を下から激しく貫いた。
伏田の神経が一気に麻痺したような感覚に陥る。
白目を向いた。
ゆっくりと後ろへ倒れていく。
ドサッ―――
仰向けに地面に崩れ落ちた。
ピクリとも動かない。
「……バカで結構。俺達はバカだからこそ――」
先輩もゆっくりと地面へ倒れていく。
この町を守んだよ。
ゆっくりと目を閉じた。