第55章 男達の闘い
――……身体がいてぇ。あぁ、俺負けるんかな。
仰向けに倒れた三善先輩がどんより曇った空を見つめた。
もう、身体の限界なんてとっくにきている。
力一杯放った拳も躱され何度も身体に拳を入れられた。
――なさけねーよな、余所者に負けて。
目頭が熱くなる。
泣くな泣くな泣くな――
何度も自分に言い聞かせる。
けれど身体は無情なもの。
どんどん込み上げてくる。
ポタ―――
ポタ―――
地面に染みが出来た。
涙………ではなく、空から雨粒が降ってきた。
俺の代わりに泣いてんのか?
空に問う。
けれど返事は返ってこない。
ただ、ポツリポツリと涙を流すだけ。
俺が負けるんが悔しいんか?
そうだよな。
俺も悔しい。
震える口角がつり上がった。
「………よわ。」
そう呟いた伏田が足を翻した。