第55章 男達の闘い
「喧嘩によそ見は超厳禁っしょ?」
バシィッ―――
「かはッ――」
背の高い大川先輩の後頭部に北川の蹴りが綺麗に入る。
先輩の身体が前のめりによろけた。
「ハル!!」
竹井先輩が叫ぶ。
「人の事を心配している場合か?」
「な―――」
バコッ―――
「ぐっ―――」
いつの間にか携帯をなおしていた林山の拳が竹井先輩の鳩尾に入った。
先輩の身体が屈んでいる。
よろけて後ろに下がった。
―――ハンパねぇ……こいつ。
先輩達は同じことを思っていた。
―――俺より背が低いのに足のリーチが長い。
ジッと大川先輩が北川を見た。
―――それに、重い。パンチは知らねぇがあの蹴りはかなりやべぇな。まぁでも――
眉間にシワを寄せる。
―――俺、大体喧嘩向いてねーんだよな。どっちかと言うと盗んだり情報集めんのが得意なんだけどよ。
竹井先輩が頭を掻いた。
―――こいつのパンチもハンパねーし……まぁ、でも――
竹井先輩の眉間にもシワがよる。
―――負けられねぇ!!
二人同時に拳を鳴らした。