第55章 男達の闘い
「あの…クソがッ!!」
バコッ―――
「――っ!!」
激しく助手席の椅子の背を殴る。
助手席に座っていた男が驚いて跳び跳ねた。
「お……親父、どうされま――」
「おどれは黙って運転しとればえぇんやッ!!」
運転手の男が尋ねようとすると、江田は激しく怒鳴った。
「すっすいません。」
あわてて男は謝る。
―――クソがァ…あのクソ若が調子放きやがって………。
再びギシギシと奥歯を噛み締めた。
―――アイツの大事なもん全部壊したる……忘れんで…昔の屈辱…。
ジッと窓の外を睨み付ける。
――殺したる。骨の欠片も残らんほど粉々にしたるわ!!
「葬式は派手にやるでぇ!!」
クックッと江田が喉を鳴らした。
「のぅ……レイカ。」
「………っ……。」
隣に座るレイカにふぅと息を吹き掛ける。
レイカは目を反らした。
ジッと窓の外を見ている。
「狙うんは岩中の首、そして西條会の破滅や!!奴等のシマもなにもかもワシがいただく!!勝つんは"虎の威光"をもつワシやッ!!」
彼の盛大な笑い声が車外にも漏れている。
レイカは彼にバレないように下唇をかんだ。