第55章 男達の闘い
その頃。
高速道路を走る白の国産高級車。
前と後ろにゾロゾロと色違いの似たような車が走っている。
皆、江田派の人間だ。
「失敗したやと…ナメとんのかおどれは?」
車の後部座席に座る江田がドスの効いた声でに言った。
電話の相手に対して。
ビクビクしながら運転手と助手席に座る男達が、バックミラーで彼の様子を伺う。
"そげん言ったって、アレは並大抵な運転じゃなか。"
電話の中から声が聞こえてくる。
山野だ。
「そこをなんとかするのが極道やろうが。ハジキでも何でも使って仕留めんかいッ!!」
そう言って、怒りでギシギシと奥歯を噛み締める。
"無理バィ、人が多すぎるき無闇にハジキなんか使えん。そげなことをしょったらサツが――"
「一々、サツにビビってどないすんやッ!!パクられてもションベン刑(短期刑)やろがいッ!!」
"そりゃあそうやけど――"
「どう仕留めるかジブンで考えれやッ!!」
ブチッ―――
そこで江田は強制的に通話を終えた。